2010年11月20日土曜日

Tulum peyniri

クレム・サンタギュールがなくなったので芦屋のいかりまで買いに行った。我が家の近辺のいかりでは、昔は置いてあったが要するに売れないのだろう、今はとりあつかってない。

帰路に罰当り土耳古人のところに寄った。コヌックさんは店頭でせっせとドネル・ケバブを焼いていた。冬になって外気が冷たくなると、ケバブを焼く香ばしい香が遠くにまで漂って、ついふらふらとテークアウェイを注文してしまう。これはイギリスでフィッシュ&チップスが売れるのと同じ理屈だ。

この写真は、通りかかったおねーちゃんを口説いてるところ。商売熱心というよりは、単に助平なだけか。

コヌックさんのところへ行ったのは、タイフーンさんが今度北野に出した新しい店について情報を得るためだった。誰それ?と思う人は多いだろうが、『トルコで私も考えた』の登場人物にして作者の旦那さんといえば、ははあと膝を打つ人もあるのではないか。広い世間には、こうした民間から発信された情報に多大の影響を受けて、トルコ語の勉強を始めたりトルコ詣でを繰り返したりする女性が、インドおたくほどの数ではないにせよ、一定数いるらしいのだが、こうしたトル女(笑)ともいうべきファン層を生み出すにあたっては、高橋由佳利の果たした役割は大きいと思われる。メタ坊自身はマンガはほとんど読んだことないのだが、タイフーンさん自身のことならよく知っている。インテリで遠慮深いタイフーンさんが北野の上でお店をやってけるのだろうかという懸念は強い。ましてや何処の誰とは名指ししないが、亜大陸から来た連中が仁義無用の阿漕な商売を繰り広げてる激戦エリアである。食事のお客さんが退けるのを待って、トルコ・チャイ+ピスタッチオのバクラワしながら、コヌックさんから事情を聞く。

 話の内容は、いずれ項を改めて記す機会もあるだろうから、ここでは省く。要するに結論としては、早目に一度行っておいた方がいいだろうということになった。近いうちに誰かを誘って訪問してみよう。

偖、おねーちゃんはもとより何につけても好奇心強いコヌックさんは、早速メタ坊が購ってきたクレム・サンタギュールに強い関心を示すので、試食ということになった。最初はパンに塗っただけ、次に一緒にケバブを乗っけて、最後には色々野菜も入れた方がいいだろうということになって、あっという間に新メニューが完成してしまった。名称はあとから罰当り土耳古人が適当にデッチあげるのだろう。

サンタギュールのような青カビ系チーズはもちろんトルコにもあって、いちばん近いのはトゥルム・ペイニリと呼ぶらしい。羊の皮でくるんで発酵させるのだが、数年かける長期熟成も珍しくないそうだ。というより、熟成を目的にしたというよりは、要するに田舎の保存食なのである。そうした熟成したチーズを多種のハーブと一緒にパイ生地にくるんでオーヴンで焼くメニューがあるらしい。聞くだに美味そうである。これをアテにラクをぐびぐび飲ったら最高と言ってたがさもありなん。

因みにTulum peyniriペイリニというのはどうもパニールと語源が同じらしい。調べたことないが、してみるとヒンディー語にはペルシャ語かアラビア語経由で入ったと思しい。てことはインドにおける発酵チーズの歴史は思いのほか浅く、千年足らずしかないのかも知れない。余談だが、リンクを張ったトルコ語の維基百科は読めそうで読めなくてもどかしい。

完成した新メニューだが、ひとつ大きな難点がある。これだけもラクの肴としてじゅうぶんいけるのである。お蔭でお相伴したメタ坊は帰宅後ぐっすり寝込んでしまい、今日中に書き上げなくてはならない書類がひとつ落ちてしまったではないか。背教者と付き合うとロクなことがない。

 

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