2010年11月20日土曜日

Sati Sulochana (1961)

阿修羅の王ラーヴァナ(SV・ランガ・ラオ)の息子メガナーダ(NT・ラーマ・ラオ)は凄まじい苦行のすえ創造神ブラーマから無敵の力を得る。かれはインドラロクに攻め込み、恐れをなしたインドラ神(ミッキリネリ・ラーダクリシュナ)は地底のナーガロクに逃亡する。くちなわの王(ナーガラジュ)アディシェシャに保護されたインドラはスローチャナ姫(アンジャリ・デヴィ)の美貌を見てこれを誘惑しようとするが、メガナーダに阻まれる。メガナーダはインドラを捕らえて獄に繋いだことからインドラジットの異名で呼ばれるようになる。またかれはスローチャナを妻としてランカー島に連れ帰るが、憤怒した蛇の王は人間に転生してメガナーダを倒さんことを誓う。

スローチャナ姫はラーヴァナの宮廷に暖かく迎えられるが、シヴァ崇拝しか認められないランカーでヴィシュヌ神を拝んだことから、ラーヴァナの怒りを買う。インドラジットがスローチャナを冷遇したのを知ったヴィシュヌ(カンタ・ラオ)は、人間に転生して阿修羅のうからを懲罰せんと決意する。ラーマとなったヴィシュヌは弟ラクシュマナと猿の軍勢を率いて、奪われた妻シータ(ラージャシュリ)奪還のためランカー島に攻め入る。ラクシュマナ(ラーマクリシュナ)はインドラジットに対峙して奮戦するが、陰ながらスローチャナに守られた敵を倒すことができない。しかし、ラーヴァナはマンドダリ(サンディヤ)の制止を無視してスローチャナのヴィシュヌへの祈願を遮る。インドラジットは首級を失って息絶える。

スローチャナは愛する夫の首級を探して戦場をさまよう。ラーマは彼女にインドラジットの頭部を返し、ラクシュマナは蛇王の転生であったことを明かす。インドラジットの首級は己の非を詫びて妻に食物を与える。スローチャナは夫のかたわらで息絶え、二人の魂は天上で幸福に暮らす。

詳細なフィルモグラフィはこちらを参照されたいが、広く知られたラーマーヤナの比較的忠実な映像化であると言える。NTRやSVRの歌舞伎調の演技も見物だが、主筋は貞淑な妻スローチャナの苦悩を描くところにある。

「スローチャナの殉死」は巷間にあまねく流布した挿話であるらしく、初期のインド映画にはこれに取材したものが少なくない。例えば1931年にリリースされた最初のカンナダ語映画がそうである。一般に知られるスローチャナの死は、夫の葬送の炎に身を投じて殉死するという文字通りの「サティ」なのであるが、この作品(テルグ語版)では夫の傍らで死に絶えるという描写に置き換えられている。

なお、本作は神様映画の例に洩れず音楽メドレーとしての一面を持っており、当時の人々に愛唱されるようになる名曲を幾つかふくんでいる。しかしここで強調したいのは、信じがたいほどハイレベルなダンスを披露する1曲があることだ。ジェミニ・チャンドラとサイスブラクシュミの名がクレジットされているが、いずれも本職の踊り子なのだろう。あんまり見事なのでここにあげておく。

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jai_jai_meghanatha.mp4 (74638 KB)

 

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